03 築年数50年超

 

今回の主役ビルは築年数50年超

とても難しいお悩みをお持ちのオーナー様に是非見て頂きたい今回のプロジェクトストーリー。
少々長いですが最後までお読み頂けましたら幸いです。

ビルの紹介

日本が高度経済成長へと向かって行く、まさにその頃。昭和37年。
大通り沿いに建築された立派な地下1階付6階建RC造の角地ビル。
大通りにかかる歩道橋の正面に立地し、1階には喫茶店が入っていますから当時は本当に人目を集めたと思います。
 
しかし、今現在の様子は長年の経年劣化と、大型幹線道路沿い特有の排気ガス汚れ。それと手入れを少し怠ってしまった事によって起こる、外壁の崩落・錆びた鉄筋が膨張する事で周辺のコンクリートを吹き飛ばす爆裂等の症状が散見されます。

共用部状況

建物内部を見て見ると昔の建築基準法が適用されている為、扉の高さが170cm程しかありません。そして階段はとても広いのにタイルが割れてボロボロ。なんだか冷たい感じがします。

室内状況

室内を見ると、アスベストが含有されている旧型Pタイルがビッチリ貼られています。
電気の安定器も旧型の為、もしかしたらポリ塩化ビフィニール含有型の恐れもある様な、迂闊には廃棄できない部材が使用されています。

消防設備

消防ホース・避難器具等も劣化が酷く、安全基準に適合しているか分からない状態です。

内壁

崩れた室内壁を触ってみるとモルタルでは無く「土壁」が使用されていました。
一軒家では無い、RC造のビルに土壁が使用されている事はとても驚きですが。
良く調べてみると、傷んだ外壁から侵入してきた雨水をこの外壁が吸い取って浸水を食い止めてくれており、古(いにしえ)の建築技術は絶妙なバランスで建物が今日迄存在する為に守ってきてくれていた事がわかりました。素晴らしい日本独自の建築技術です。

外壁

外壁の劣化は特に酷く、いたる所に酷い損傷が見受けられます。
本来10年周期で必要な外壁塗装等の補修が長らくされていなかった事で、内部の鉄筋に迄雨水が浸透し、錆びて膨らんだ鉄筋が周辺のコンクリートを吹き飛ばしている状態。通常「爆裂」と言われる状態を引き起こしております。
拡大図を見ていただくとわかりますが。表面のモルタルが吹き飛び、さらに強度が強いはずの中に入っている砂利が混じったコンクリート迄が吹き飛んでいます。この状態はとても良く無い状態で、建物の基礎に関わる損傷が発生しています。

外壁環境

左側の写真をご覧いただきますと壁が盛り上がっているのが分かります。
これは窓を潰して後から壁を造った場所です。竣工後に工事を行った為、当然に外壁の強度は弱く、良く見ると周辺の鉄枠が既に腐って浮き上がっている事がよくわかります。
工事中に触っていたらボゴッと外れてしまいました。
右側写真。閉まったままの薄汚れたシャッター前は、周辺配送業の方々がカートや車を置く、なんとも良くない状態を作り出してしまっておりました。

屋上

屋上には使われていないエアコンの室外機や、高架水槽等が錆びて劣化した状態で設置されておりました。屋上防水の状態もあまり良い状態では無く、手すりは錆びきって安全基準を満たしているのか分からない状態です。

全体的な判断の基準

上記の様な状態を把握した上で、私共は「何年建物を存続させるか。」と言う判断を行います。
 
 ・竣工後50年の間に変動してしまった周辺経済環境。
 ・そして旧建築基準法によって施工されている建物デザインが入居者に与える影響。
 ・「潰す事」も「売る事」も出来ない事情の解消にかかる準備期間の確認。等。
 
賃貸・売買・管理・金融・建築等・法規、様々な方面から検証を行い、期間を決定いたします。
そして、「幾らかけて工事を行うか。」と言う判断をしていく事になります。

結論

調査の結果、大きな要点としては下記の通りに決定いたしました。
 
 ・このビルは後10年間、使用出来るように存続させる事。
 ・10年間は修繕にまとまったお金がかからないビルにする事。
 ・3階迄しか賃貸の貸出を行わない事。
 ・小奇麗で入居者が喜んでくれるビルにする事。
 ・工事費用をなるべく抑える事。
 
以上の事を踏まえた上で、この築50年のビルがどの様に変わっていったのか。
要点を押さえながらご説明をさせていただこうと思います。

工事開始

早速工事が始まり、ビル全体に足場がかけられ、飛散防止ネットによって覆われました。

大問題

なんと隣接ビルとの間隔が狭すぎて足場を立てる場所がありません。
良く調べてみると、ビル間の感覚が狭すぎた為に今まで改修工事が出来ていなかった事もわかりました。しかし、この部分からの室内への漏水が特に酷く、長年に渡り補修されてこなかったので一体どれ程傷んでいるのか見当もつかない状態です。
悩んでいた所、今回の建築工事をして下さった有限会社スカラ金本社長より。
 
「吊り(人をロープで吊る事)でやらせます。」
「細い人間でも何でもいれて、とにかく完璧に仕上げますから!」
 
と、とても心強いお言葉を頂き問題は解決。
信頼が出来て機転のきく工事会社さんは本当に貴重でありがたい存在です。

大問題2

足場を使って外壁を隅から隅まで検査した所。
なんと写真の様な爆裂やひび割れが、最初に予想していた数量を大幅に超えて存在している事が分かりました。
外壁のプロが、経験からこの程度だろうと算出した数値を大きく超えた理由は、やはり隣接ビルとの壁面に50年間一切手を入れてこなかった事が最大の原因でした。
工事を行う上での怖い所は、この「追加工事」。予定していた予算を大幅に超えてしまった時、着工してしまっている手前、止めるわけにはいかないし・・。と悩んでしまいますが。
こんな時でも信頼できる工事会社さんであれば。
「工事代金は最初のままで結構です。」「ウチと業者で何とかして、完璧に仕上げます。」
と、とてもありがたいお言葉を頂く事が出来ます。

外壁補修で大切な事

外壁補修は最終的に塗装を上からおこないますので、下地処理等は出来上がりだけを見ると全くわかりません。しかし、長期で見るとこの下地処理がとても大きな影響をもたらしてきますので、下地処理を丁寧に行ってくれる外壁会社さんにお願いするのがポイントです。

爆裂補修

爆裂箇所の補修は、原因でもある鉄筋の錆びを防止する事が重要となります。
① 爆裂箇所の周辺を削って、弱い所を落としてしまいます。
② ねずみ色エポキシを鉄筋に塗って錆び止め処置を行います。
③ 下地を安定させる為にプライマーで処置を施します。
④ Kモルタルを塗りこむ事で基礎的な補修工事は完了です。

ひび割れ補修

ひび割れの箇所も爆裂と同様に丁寧な下地処理を行った上でKモルタル処置を丁寧に行います。

水道工事

水道工事にあたって3階迄水を使用と言うのはとても意味を持っています。
何故なら、水道局から送られてくる水には、なんの機器を通さなくとも建物3階まで上げる事が出来る圧力がかかっているからです。
3階迄水を送るなら、受水槽も、高架水槽も、ポンプも、制御盤も、なーんにもいらない。
しかも、請求は各入居者へ水道局が個別で行ってくれるから、メーター検針もいらない。
特に古いビルで水道局から直接供給に変更する事は、維持管理、費用面でとても効果的です。
4階以上は水の供給がされなくなりますので、4階以上には原状回復工事が必要なくなり。
4階以上の空き部屋はそのまま倉庫で貸してしまう事で、今回は水の供給を3階で止めてしまう事にしました。

前と後

色々な工事を行いましたが、主要な工事のご説明は終わりましたので、そろそろ改修前と改修後の比較を説明付でご紹介したいと思います。

外観

排気ガスで薄汚れていたビルは、昔の造りを生かしたレンガ調のきれいなビルになりました。
不要な看板やシャッターも取って、傷んでいた外壁は丁寧な下地修理のおかげで10年以上は大規模な修繕の必要ないビルとなりました。

エントランス

今回の工事では使用できるものは全て使用する事でコスト削減を実現しております。
例えば玄関のガラス入り扉は、交換する事無く表面にシートを張って取っ手のみ交換する事で新品の様に見えます。

シャッター

古いシャッターのあった箇所。
消防法に適合した状態で水道メーターと、目立って邪魔だった室外機を設置。

通路

薄汚れていた玄関からの通路は小奇麗に修繕されて、ポストは元掃除用具入れの所に収めました。

屋上防水

ごちゃごちゃしていた屋上。
水道局からの直接供給にする事によって不要になった高架水槽、エアコンの入れ替え及び3階以上の室外機撤去によって旧型の巨大室外機もなくなり、とても広くなりました。
手すりも安全な状態になって、ご入居者が落ち着かれたらベンチでもおいて休憩所として開放しても良いかもしれません。

室内

室内の土壁や柱を上手に覆って壁を造る事によって、コストを抑えた状態で最新の内装にも十分太刀打ちが出来る状態になりました。もちろん有害部材は全て取り除き、OAフロアで電気容量も十分な事務所になっております。

水周り

階段

電気工事

電気工事に関しては、良くわからない工事をされてしまうと、何か故障や事故が起こった際の復旧に非常に手間取る事が良くあります。
元々、このビル1部屋あたりの電気容量は20Aで、1Rマンション程の電気容量しかありませんでした。しかも、線の引き込みを3フロアまとめて1つの部屋に引き込んでおり、そこに全てのメーターがついるような、とても賃貸に貸し出しにくい環境でした。
従って、今回は引き込み場所やメーターの位置等も分かりやすい所に設置し、電気容量も大幅に増やす工事を行いました。電気工事会社さんの計らいにより、使用の仕方によっては記載電気容量の倍使用出来る様な特典もつけて頂き、かなり余裕を持った電気環境を整える事が出来ました。
今回はアフターケアもしっかりしてくださる信頼出来る電気会社さんにお願いしたおかげで、後日、1階ご入居者内で、今回の工事範囲外の不具合が発生した場合も、すぐに緊急対応をしていただく事が出来ました。

消防

消防は最初に見て頂いた通りボロボロの状態でした。
連結送水管等、大型の水利消防設備は修繕するのにとても多くのお金がかかってしまう上、消防署に聞きにいっても、彼らは良いかどうかの判断だけをする国の機関なので、こちらで全て調べて消防署に認めてもらう必要があります。
とにかく地道に消防署へ聞き取りに行ったり、消防設備業者さんと話あいを続ける事によって、消防法規上連結送水管が必要無いビルである事が分かり、火災報知器の集合盤や非常灯設置だけでおさまる事となりました。
根気強く一緒に聞き取り等を行ってくれる消防設備業者さんと言うのは本当にありがたい存在です。

まとめ

古くなってしまったけれど「潰す事」も「売る事」も出来ない建物。
高度経済成長、バブル期に建てられた建築物に対して、大きな判断を迫られる様になって参りました昨今。所有不動産の経年劣化に頭を悩ませているご所有者が多数おられると思います。
 
そんな悩みの事を我が社では「建物が人の命を吸い取る」と言う表現をいたします。
 
それは、建物にかかる修繕費や、入居者の減少、管理上の問題等、良い時は良いのですが、悪い時は本当に著しく体調をくずす程に追い詰められてしまう。それが不動産経営である事を良く理解しているからです。不動産と言うとても大きなお金が動く場所だからこそ、信頼の出来る資産運営が必須になってまいります。
マンション、戸建て、ビル、物流センター、ショッピングセンター、ホテル等、日本全国100棟以上の自社不動産売買の経験と、富裕層から主婦の方まで幅広いお客様からのご相談を解決してきた実績から、お客様の悩みを専門家達と一緒に考えながら乗り越えさせていただく。社名のWITHにはその様な意味があるのです。

今回の工事会社様のご紹介

「建物全体工事」
社名:スカラ有限会社
担当:金本社長
 
「エアコン電気工事」
社名:株式会社浅草電設
担当:土田社長
 
「消防設備工事」
社名:ソーマ防災株式会社
担当:坂本社長


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